銀塩日和

フィルム写真と冒険。そしてSDM生活。

最近イノベーション創出の研究をしています。一緒に遊びましょう。

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「何してるの?」
 
そう言われることが多い。一言で職業を申し上げて相手をきっちり納得させるということが下手だからかもしれない。
「何してるの?」の意味自体、普段はお仕事は何をされているんですか?とか、何を収入源にされてるんですか?とかそんな意味だとしよう。
 
だとしたらそこに対する回答は明確だ。
収入はない。

 

3月末に会社を辞めて以来ひたすら研究に勤しんでいるので、収入を得るために働くということを疎かにしてきた。
運良く学校から零れ落ちるバイト(TAのような)があったとしたらそれにすがりつくが、積極的に飯の種に時間を費やすということをなぁなぁにし始めたのが今年度だ。なぜそうなってしまったか、楽しいからだ。
 
研究することが楽しい、論文を読むことが楽しい、理解し学んだことをプロジェクト化し、世に出そうとするアクティビティが楽しくて仕方ない。
変化が激しい時代にあって会社員時代には感じることのできなかった、世界の先っちょにいる感覚がこのアクティビティでは味わえる。世の中をどんどん良くしてやりたいなぁなんて気持ちが溢れてくる。
 
もちろん、収入がないことがまずいなーとは思っていて、本当にどうにかなりませんかねぇと毎日つぶやいていたりする。切ない。切ないが楽しいから仕方ない。
 
説明がうまくできないのは自分の職業についてだけではない。研究内容にしたってそうだ。
「何してるの?」の問いに対して、学生です、大学院生ですと言ってみると、相手が怪訝そうな顔をするので、きっとアラサーになってから大学院に入学するなんて何を考えているんだ、なんて思っているんだろうなぁとか、そうじゃなくて何を研究しているの?ってことを話しなさいよなんていうことを思っているのかもと考えたりする。そのあとにだいたい「なんの研究をしてるんです?」なとど聞かれるので、そこで答えに困ってしまう。
 
ストレートにいうと「イノベーションを創出する手法の研究をしています」「創造的な収束技法の作成に取り組んでいます」になるわけだけど、だいたいハァ?って顔をされるのでこの言い方はやめた。
 
「システムシンキングとデザインシンキングの研究です」というのも試してみた。ある人には刺さるらしい。ただある人には全く刺さらないらしい。「デザイナーなんですか?」とか「はぁ...なんか大変ですね」などと、今後の会話がどう考えても愉快にならなそうな方向に飛んでいくことがままあった。
 
自分のやっていることがうまく説明できないというのは、なんというか自分にとって致命傷な気がしてきた。
特に会話で説明するのって本当に難しい。
そこで、自分のやろうとしていること、やりたいと思っていること、取り組んでいることをとりあえず文章にすることにした。
 

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僕には夢がある。
 
エンジニアと24時間ふざけ続けて、最高のプロダクトを世に出して、世界中のみんながゲラゲラニヤニヤすることだ。
 
父親が造船会社の現場の人間だったこともあって、溶接や木工なんかは小さな頃からびっくりするくらい身近だった。家には工具が転がってたし、父親は自分で釣り具を作ったりしていた。幼な子頃にその背中を見て育った僕は、「なかったら作ればいいんだな」とすぐに思うようになった。そんな環境でものづくりにハマらない方が難しかった。お外に出るのが嫌いな男子よろしく、簡単な工作にはまり、電子工作にはまり、とすくすく育っていったために、大学のバンドサークルではバンドの練習そっちのけでMuseのマシューのようにギターの中にエキセントリックな電気回路を打ち込むのに夢中だったりもした。
 
とにかくものを作って、それを見て触って味わって(してもらって)、「最高だね」「ウケる」「わたしにも作ってよ」なんて声を聞くのが最高に好きだった。はじめっから最後まで自分の手で作り出さなくてもいい。自分の言い出した、自分たちの考え出したアイデアが形になってポジティブに広がっていくなんて最高にワクワクする体験じゃないか。
 
そんな夢を持って日本のメーカーに入り込んでみた。一緒に入り込んだ同期も僕と同じようなことを口々に言いながら目をキラキラさせている。眩しすぎて目が潰れそうになる。
 
訳あって、僕が入り込んだメーカーでは僕の夢は実現できないことがわかった。やろうとしても驚くほどの時間がかかり、その間に世の中の様子が一変してしまうんじゃないかと思うほどだ。
 
だとしたら別の道を通ってみよう。結果としてその方が近道かもしれない。僕はエンジニアでないがゆえにものを作ることはできない。僕はどんな振る舞いをすべきか、そうだ、最高のアイデアを吐き出す人間になろう。最高のアイデアを吐き出しさえすれば頭のいい人が形にする手助けをしてくれるだろう。
 

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今最先端のアイデア創出はどうなっているんだろう。アイデアを無限に発想する手法はめちゃくちゃあるのか...その中からベストのものを選ぶのはどうするの?みんな経験値でバリバリやっている...あんまりそういう手法ないの?じゃあ、無限にあるアイデアの種から僕の夢を叶えるベストなアイデアの種をピックアップする方法を作ろう!!
 
そんな訳で今に至っていたりする。
 
あの時目をキラキラさせていた同期の何人かは、僕の退職直前の時期には目を曇らせて「仕事つまらん、休憩時間のソシャゲだけが生きがい」みたいなことを口からこぼすようになってしまっていた。悔しい。あんなに面白そうなことをできそうな人たちだったのに。
 
だから僕は、最高のアイデアを吐き出すマンになって、エンジニアとふざけ続けるマンになって、ものづくりをし続けたい人たちをキラキラさせていたい。そう思っているのだ。
 
毎日やっている研究がそれにつながっているようなものにしたい。いろんなエンジニアさんとふざけられる中になりたい。そんなアクティビティをしている。みなさん一緒に遊びましょう。イノベーション関連のディスカッションがしたいという方もお話したいです。
 
 
 
 
 
さて、そんなアクティビティの中の一つ、今年4月の"Milano Design Week 2017"の展示について、レポートいただいた記事が公開されていた。
 
今回はAIと人間中心のデザインが描く未来を展示させていただいた。僕自身ただの一メンバーでしかないけれども自分たちの作れる価値の一端を世に出すことができた試みとして非常にワクワクすることができた。ミラノサローネ期間の話については別で書こうと思っている。一応アピールしておくと今回のプレス用写真はわたくしが撮影しました。楽しかったです。