銀塩日和

フィルム写真と冒険。そしてSDM生活。

メーカーはもっと顧客と友達になろうよ

どうも、僕です。
最近感じている話。

 僕はメーカーのマーケティング・企画スタッフとして働いている。

担当商品は既に此の世にある古いモノだし、売り方も決まっているのでスタッフとしてやれることなどほとんど無いのが現状なのは心苦しい。
もっとふざけたい、もっと自由に販促企画を打ちたいなど考えているが、、、ここから先は今回言いたいことから外れるので、本筋に戻ろう。
 
そんなスタッフ職から見て、プロダクトに関わる人って本当に大変そうだ。
ここで言うプロダクトに関わる人とはエンジニア・サービスサポートスタッフ・セールススタッフ・プロダクトマネージャーetc...みたいな人たちのことだ。
現場の人間、意思決定をする人間など、顧客との距離感に違いはあれど、仕事のどこかでプロダクトのことを考える人すべてについて、僕はあらあら大変そうだなぁなんて思っている。
 
彼らのミッションは、ざっくり言ってしまうと顧客のニーズを100点満点以上に満たすために骨身を削ってプロダクトを作り・提案し・使ってもらうこと、それをし続けること。
し続けると言ったとおり、あるプロダクトをローンチしたら、次はもっとそれが良くなるように、顧客にもっと満足してもらえるようにと更に先のことを考え続ける。
ずっと顧客のことを考え続け無ければいけない仕事なのだろう。
 
しかし、僕が大変だなぁと思うのは、そこではない。
彼らの忙しさの大半は、メーカーと顧客の意見の相違に強く振り回されることに占められている。
何のことを言っているのかというと、たとえば互換性、前身機・競合との互換性。
メーカーとしてはより汎用性の高い、ユーザーが将来的にメリットを享受できる方式に仕様を変更したいとしても、そのメリットが理解されなくては当然顧客はその変化を嫌がる。
何故、昔の形式から変更したのか、前のほうが良かった云々。。。その変更がメーカー側からのメッセージだったとしても、意図を理解されなければ、奇行に走ったと思われても仕方ない。
そんなことを繰り返していくと、メーカーとしても顧客がこう言うだろうからコレは捨てられない、と無茶な互換性をキープするためにプロダクトに関わる人が駆け回ることになる。「顧客は今きっとコレを求めているから」と顧客の役に立つために身を粉にして奮闘する。
 
互換性だけではない、細かな色、形状、材質、とにかくありとあらゆる仕様にとってこのことは起こりうる。
そのたびに、「メーカーは分かってない」「顧客はうるさい」という声がどちら側からも飛び交う。
 
お客様は神様だとはよく言ったもので、神様が言うことは村の民には簡単に理解が出来ないのではないだろうか。
だから神様の言ったことの字面をそのまま追って、行動に移してはいろいろな不都合が現れるし、村人だって大変だろう。
神様が遠いなら巫女でも何でも通して、神様とコミュニケーションをとれればいいのに。馬鹿みたいなことを書いているけど本当にそう思う。
もちろん、ものづくりが巨大化した現状、実現不可能なことを思っているのかも知れない。
 
「顧客の欲しいものは顧客に聞いても仕方ない」とはどこかの有名人が言っていたことだけど、それに胡坐をかいて、未来を想定してデザインしたプロダクトをローンチするだけのプロジェクトが多すぎやしないだろうか。 
顧客が欲しいのはドリルではなく穴だ、というフレーズはもう大分使い古されてしまったけれど、実際に貴方が欲しいのは穴なんですよ、というコミュニケーションに挑戦して成功しているメーカーはどれだけあるだろう。
ドリルを買わなくていいプロダクトをリリースすることができたのだったら、そのことがユーザーにどれだけの利益をもたらすかを伝える努力のほうに力を注ぎ、なんだったら説得するまで言ってしまってもいい。
これだって立派なコミュニケーションだ。
現場の反応を見て「やっぱりドリルが欲しいって言ってるから」と安易にアイデアの手戻りを発生してしまってはメーカー自身だってたまったものじゃないと思うのに。
 
その点、僕の働いているメーカーは顧客とのコミュニケーションが本当に下手だなぁと思う。
顧客との距離も遠く、出来る限り正式な・位の高い情報発信をしようとした結果、情報発信の頻度は極端に下がり、メーカーの意図を読み取るのは一苦労。
接点数も極端に減っているため顧客の言いたいことはどこに投げればいいか分からない。
これではお互いコミュニケーションなんて成り立つはずがない。どちらから見てもプロセスの中で、相手に伝えるための工夫がすっぽりと抜けている。
お互いの距離が遠いというのならば、そのあたりのコミュニケーションを補助することをITで出来ればいいのだけど。
 
メーカーと顧客の関係を超絶単純化して、「売買契約を結ぶビジネスパートナー」と考えたとき、金銭が介在するのにここまでコミュニケーションをとらないビジネスは無いんじゃないかとすら思う。
 
そのコミュニケーションを減らした結果として、メーカー側では負担増、顧客側では満足度低下、となるのだったら多少のコミュニケーションコストをかけてでも顧客とメーカーの関係性・距離感を改めて設定しなおすことは決して無駄じゃないんじゃないか。
むしろ顧客とコミュニケーションが出来ていないメーカーはものづくりに支障をきたすくらいには思うのだけど。
 
というか、「世界で一番顧客とコミュニケーションが出来ているメーカーってどこなんだろう?」

*1:改めて読み直して主題が伝わりづらかった部分なので、追記と修正をしました 20160107