銀塩日和

フィルム写真と冒険。そしてSDM生活。

ジャンクで手に入れたフィルムカメラ。CONTAX 139 quartzを完全復活させてみた。

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どうも、僕です。

ちょっと前にCONTAXっていうメーカーのジャンクを手に入れましたっていう日記を書いたんです。これね。

 

ino-null.hatenablog.com

こういう手を動かして遊べる記事は書いててアドレナリンが出まくるので楽しいんですが、今日もその続きを書いてやろうかなと。完全に前の記事を読んでいることが前提なので、お時間のある方は上のリンク記事を一回眺めてみてくださいな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・はい、ありがとうございやす。読んでくれれたわけですね!じゃあ存分に工作工程を書いていこうかね。一応興味無い人にも言っておくけど、本当にフェチぃことばっかり書いているから!それでも頑張って読み進めてくれれば最後の方に格好いいカメラの写真あるから!頑張って読んでください!好きな人はそのままGo!にんまりするテンションでジャンクいじりをはじめましょ〜。

 

1.モルトプレーンの張り替え

 

フィルムカメラにはモルトプレーンという遮光スポンジが貼られている。(特に国内のカメラに多い) これはフィルムに光を感光させないため。裏面には特に多く、これは裏ブタをパカパカ開けるフィルムカメラならではの特徴だなぁと。古いカメラではこのスポンジが経年劣化して、ぽろぽろになってミラーやファインダースクリーン上に黒い点として落ちてしまったり、スポンジを張るための両面テープがベタベタになって気持ち悪い質感になっていたりする。このCONTAX 139 quartzは前者。申し訳程度に残っていたスポンジの跡をピンセットで触るとぽろぽろ黒い粉になって落ちていく。こりゃダメだ。

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裏ブタを開いて蓋が収まる溝に貼られたスポンジを全て剝がす。作業自体はピンセットでなぞっていくだけなので全くもって簡単。裏面だけでなく、前面のマウントの中にもモルトスポンジが貼ってあるのでそちらも忘れずコスコスする。(こすっている)

だいたいこすり終わったら黒い粉を拭き取るなり、ブロアーで吹き飛ばすなりしてカメラを綺麗にする。ブロアーって、撮影の時にももちろん使うけど、メンテナンスのときだって必ず使う。高いものではないし、一個は持っておきたい。

 

 

黒いカスがなくなって、ボディの地金が綺麗になったら、いよいよモルトプレーンを貼りなおす。細かくは書かないけど、これまでスポンジがあった場所に合わせてスポンジをハサミでカットし、ペタペタと貼っていくだけ。当然失敗したら貼り直しをするけど、慣れてきたらホイホイ進む。こだわる人は型紙みたいなのを起こして貼っている人もいるらしいけど、僕は勢いでチョキチョキやっていく派。カメラを一台分貼り直したらすぐに慣れた。モルトプレーンは、初めから適度な厚さのものにノリがついたものが売っているので、それを使えばいい。これも別に高いものじゃない。ジャンク修理ってあるレベルまでは安上がりなのだ。

 

 

当然貼り終わったら、フィルムを詰めてテストをする。ファインダーを覗いてゴミやチリが無いこと、上がってきた写真に光の漏れが無いこと(漏れてると端が変色したりする)を確認。というか試写サンプルはまた今度。

この139 quartzはここにくるまでの間に電池を詰めて動かして、ファインダーが綺麗なことなどは確認済みなのですっ飛ばしましょ。

 

 

2.外装を綺麗にしよう!好きな革を貼ろう。

 

こんなに使える個体なのに、じゃあ何でこいつがジャンクだったの?っていうとやっぱり見た目が残念だったのがいけなかったんじゃ無いかなぁ。下の写真みたいにほぼ全裸に近い状態だからねぇ。。。ボディもなんとなく汚れた部分があったのでまず全体を磨いてピカピカにしよう。

 

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特に特別なことはしていないけど、液晶クリーニングペーパーとマルチクリーナーでふきふき。どれも初めてまともなレンズ交換式デジカメを買った時に一緒に買ったもの。だって自分のカメラを綺麗にしておきたいし、レンズは一旦汚してしまったら本当にダメになりそうだって感じたからね。まさしく下のセットで買った。

 

 

ボディが綺麗になって、もともと貼ってあった革の接着剤が綺麗に取り除けたらOK。ガンコな汚れもそんなについていなかったし、サクッと綺麗になった。そうしたら新しい革を貼ってやろう。このあたり、はっきりいって一枚革を用意してカットしていくと果てしなく難しいので、ここはプロの手を借りよう。だってカメラって曲面の多い立体物なんだもん。複雑なカーブを描くんだもん。で、カメラの貼り革で僕が全面的な信頼を置いているのはこちらのお店

Aki-Asahi Custom Camera Coverings

有名なフィルムカメラから、身近なデジカメまで色々なメーカーのカメラにある貼り革を販売しているお店。しかも、一般的な黒の合成革だけじゃなくて、牛革や、クロコダイルテイスト、果ては真っ白な革なんかもある。昔のカメラを直すためだけじゃなくて、お気に入りのデジカメの見た目を自分好みに変えてみるのにも是非使ってみたい。(今度MX-1の革を張り替えて雰囲気を変えてみようかなぁなんて)

さて、そんな僕が注文したのは牛本革のリザード仕様(黒)。だってちょっと派手で格好いいんだもん。1,300円くらいか。

 

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そうしたら、なんと練習用でもう一枚別の種類の革をおまけでくれた!!なんたる優しさ。。。(練習などせず、また一台拾った時に使おう笑) こちら↓が注文したリザード調。格好良いですねぇ。渋すぎず、派手すぎず、気品のある仕上がりになるんじゃ無いかと。もうこの時点で僕は完成した姿を想像して顔が全力でとろけている。

 

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さてさて、こいつを台紙から剥がして綺麗になったボディの曲線にあわせて貼り付けていく。特に正面はマウント周りのディティールが複雑なので慎重に。。。

 

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どうでしょ。綺麗に貼れたかな?特にグリップ端の曲線部は剥がれやすい気がするので入念に圧をかけておく。そのためにも元の接着剤を綺麗に取り除いたのだから。オモテ面を綺麗に貼り付けた時点で、ボディのすっきりした面と少し主張するレザーとのコントラストが素敵になりすぎて軽く即倒しそうになる。いやいや、裏面まだだから。落ち着いてやりきらなきゃ。作業しながら、そのあまりの美しさにアドレナリンが出続けるのはいつものこと。

さて、全ての面にレザーを貼り終わってボディに関する作業は完了。もちろんちゃんとした職人さんに言わせたら「たいしたことしてなさすぎワロタ」なのかもしれないけど、今回は良個体を手に入れたし僕が使う為の趣味のレベルなのでご容赦を。それでも完成したものを見るとね、もうね、目頭が熱いですわ。だって格好いいんだもん。復活かそれ以上だよこれ。さぁご覧になって。

 

 

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ふふふ、どうです?格好いいでしょう!レザーが貼られるだけでだいぶ雰囲気が変わります。隅から隅まで綺麗にしたしね。この貼り革のおかげで、もともとの気品あるデザインが一層引き立つ気がする。

しかし、ここで一つ問題が。。。レンズがね...無いのです。Zeissのレンズって高いから。。。買うか?って言われると、めちゃくちゃ欲しいけどさ、そこは20代の貧乏サラリーマンには手が出ないわけで。だからこそPENTAXの安レンズをいつも使っているわけで。そう考えると旭光学(PENTAX)のTakumar(タクマー)ってレンズは本当にありがたいくらいお財布に優しいもんなぁ。5,000円くらいでめちゃくちゃ使えるレンズが手に入れられるし。。。

 

...あれ?じゃあ、Takumarを使えればいいんじゃない!?手元にあるんだし。ってことではいどーん!!

 

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みんな大好きマウントアダプター!!なかなか合うものがなくて困りましたが見つけましたわ、M42マウントのレンズをY/Cマウント(ヤシカコンタックスマウント)のボディに付くようにするものですコレ。こういうのを探すとき、気にするのは工作精度だったりするのだけど、ものがものだけに選択肢がなかったので見つけた瞬間に発注しちゃったり。ちなみに、工作精度の甘いマウントアダプターはどうなるかというとこの↓の記事が非常にためになる。

 

aremo-koremo.hatenablog.com

 

3.完成!CONTAX 139 quartz復活!

そうして完成したのがこちら!

 

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超格好いいやんけ。。。(ため息

装着したレンズはSuper-Multi-Coated Takumar 55mm F1.8。オールドレンズを楽しむ人にとっては色々なところで目にする日本が誇る名レンズ。玉数が多くて、手に入りやすくて、写りもいい。あと僕にとってはバラしてメンテがしやすいのも非常にいい。このカメラにつけるならCONTAXの純正レンズ、Planer 50mm F1.4も写りがほわほわで素敵な写りをする。合焦した部分の周辺から夢の中のような美しいボケをしてくれるみたいでいいなぁなんて思っていたけど、いかんせん値段がネックで手が出ない。webで見る純正レンズは大口径なものが多いので、小ぶりなTakumarレンズをつけている僕の139 quartzはすっきりしていてイメージがちょっと変わる。スマートで機動力高そうだ。

 

 

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もう実は、会社の行き帰りで実際に撮影はしてみたので、その写真があがってきたら今度はこのカメラの使い勝手と、写りについて書いてみたい。今の時点でちょろっとだけ言えるのは僕はこのカメラが大好きかもしれないということだ。いや、本当にこれを企画したメーカーの人のメッセージに共感してばかりエンジニアのこだわりもものすごく感じられる。最高だ。

 

今回は簡単な改修だったが、他の個体だったら内部機構まで当然手を入れる。一台一台の症状や特徴に正面から向き合って悩むのだ。昔の名機(迷機)と向き合って楽しいのは、こういうことなのかもしれない。つまり、作り手のメッセージを一から拾い上げて受け取れること。過去の企画者・エンジニアの思いやアイデアをその作品ともいえる機種を通してトレースしているのだ。僕はメーカーの中の人なので、特にこういう工程が楽しくて、それでいていつか自分が作るものの為に大切な経験になっていると思えて嬉しい。

 

このカメラで撮った写真と、使った感想をお楽しみに!!

こちらからは以上でーす!

 

 

フィルムカメラの撮り方 きほんBOOK (カメラきほんBOOK)

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I Love クラシックカメラ ?はじめてのフィルムカメラ修理 (大人の自由時間mini)

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P.S 僕の周りでCONTAXが増えている...!!!

ARIAも欲しいなぁ。でもなぁMZ-5がほぼ同じことできるからなぁ。

restructure.hatenablog.com