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銀塩日和

フィルム写真と冒険。そしてSDM生活。

助けたおじさんに連れられて、お酒の席に行ってみれば。

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どうも、僕です。

このブログでも何度か書いていたりするが、今はそこそこ大きな会社でお仕事をしている。この"そこそこ"というのが、僕としてはちょっと肌に合わない部分もあって、日々悶々としているのだけど、先日もその「なんだかなぁ」を感じるような出来事があった。まぁいいのだ、だってどうせいつものことだもの。だからいつものように「はぁtwitterで愚痴ろうかなぁ」なんて思っていたら、どうやら僕の早とちりだったようで、今回の出来事は初めに感じていたネガティブさとは全く真逆のところに着地してしまったので、そのことを少し書いてみたい。

 

事の発端はある日受け取った社内メールだ。僕はこの社内メールというツールがなかなか大嫌いで、メールボックスを開こうとすると毎度胃がチクチクする。というのも、大小合わせて結構な数のグループ会社の名も知らない担当者から、朝となく夜となくメールがくるからだ。アンタいったい誰なんだ、って人間から毎度毎度"【依頼】〇〇の対応の件について【短納期】"なんてタイトルのメールがくることを想像して欲しい。初めこそにこやかに対応はできるが、繰り返しそんな業務をしている間に笑顔もひきつってくる。世の人間はどう対応しているんだ一体。。。そんなメールの中に、一通だけ毛色の違うメールが混ざっていた。

 

「Title:突然失礼します。◯◯さん(僕の名前)でしょうか?

 

これがグループ会社からのドメインで送られていなかったら、スパムと判断して即ゴミ箱送りしているところだろう。なんだこれ、など思いながらメールを開封する。すると、どうやら僕にメールを送ってよこしたこの人が先日訪れた練馬の居酒屋で、店主が僕と同姓同名の人間を探しているということを聞かされたらしい。そして、どうやら細かく話を聞いていると、それは僕で間違いが無いようだ。はて、人生で一度も練馬に降り立ったことは無いのだけど。。。

 

僕も、僕だけじゃなく周りの人も、お酒が好きだ。

わりと、お酒の好きなタイプだと思う。僕のことだ。

どうやら「若者の〜離れ」という定型文の中には「若者の飲み会離れ」「若者のアルコール離れ」というパターンがあるらしいのだけど、僕の観測範囲ではそれが馬鹿らしく思えてくるくらい周囲の人もお酒が好きだと思う。僕か、または「〜離れ」を作った人の観測範囲がたまたま重ならなかっただけなのだと思うけど、そう思っていても人によってその世界の見方が変わるのは面白い。いや、もしかしたら僕はもう若者では無いのかもしれない笑 まぁ仮にそうだったとしても、僕の記憶が正しければそこそこ若者の頃からお酒と、お酒の席が好きだったはずだ。

さて、お酒の好きな僕と、お酒の好きな周りの人間、そんな人たちが集まると、当然ながら美味しいお酒を飲もうということになる。欲望のままに美味しいものを味わう会もあるし、特別なものでなくてもそこそこの料理とお酒を安く楽しむ会だってある。お酒も料理もいい、ただ僕はどっちかというとお酒の席でする話や、その雰囲気がたまらなく好きなのだ。

 

お酒の席というと、酩酊して、なんだか楽しくなっちゃって結果大声でガヤガヤわっはっは。そんなのも楽しくていい。ただ、僕としてはどんちゃん騒ぎでなくてもいい。どちらかというと静かな方が好きだ。なんだか、美味しいお酒、美味しく感じられるお酒を楽しめている空間は、時間がゆっくり流れている気がする。ぽつり、ぽつりと言葉を拾い上げながら大事に会話をする間の、無音の時間が嫌じゃ無い。ゆっくりその会話を楽しめる雰囲気が、心地よい。そんなだから楽しい雰囲気のまますぐに終わってしまって「ああ、まだ飲みたいなぁ」なって感じてしまうのだろうけど。

 

いつからこんな飲み方をするようになったのか、もう全然覚えていないのだけど、そんな空間を探して、友達とふらふら飲み歩くようになった。もう学生の頃からずっとそんなことをやってるはずだ。案外とどこにでもそんな飲みの空間はあるはずなのに、そんな当たりの飲み会空間を見つけるのがなかなか難しい。きっと影響するのは場所だけじゃ無い。一緒にいる人とか、その時話した内容とか。お店の中につめこめるいろいろな要素が、飲みの空間の楽しさを決めているんだろう。

 

その日も、そんな当たりの空間を探して友人と溝の口をふらふらしていた。

 

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Boy meets おじさん

だいたい一年前、当時友人同士が集まりやすいということで、溝の口をぶらついて安酒を飲み歩くことが多かった。溝の口の駅の裏側にある、あの、こじんまりと汚いお店が並ぶ最高に楽しい飲み屋街を冷やかして歩こうと、その日も駅に集合したところだった。友人と僕、二人のアラサーが顔を合わせて「おう」「うっす」なんて挨拶を消費する。いつもの低燃費っぷりが心地いい。さて、じゃあ初めのお店を探しますかね、なんて時に、不安そうな顔の、小柄なおじさんが声をかけてきた。

 

「◯◯というお店がどこにあるか知りませんか?」

 

いいタイミングだおじさん、こちとらこれから飲もうってことで超ご機嫌なところさ、あんたの行きたいところどこでもググってしんぜよう。どこに行きたい?お姉さんのいるお店か?ちょいとダンディなバーかい?...あ、焼き鳥屋ですか、こじんまりとしたところ、へぇ...あ、了解です。ちょいとお待ちいただいて。。。お、近いですね、じゃあ一緒に向かいましょう、ご案内しますよ。え、予定?無いです無いです、このまま一次会のお店探しているところだったんで。ええ、暇なんでご案内させてください、ほら、3分もかからないですから。

 

道中おじさんの話を聞くと、どうやら行こうとしているお店はおじさんが昔働いていたお店らしい。あの時はこの辺りももう少し見通しが良くて、場所がわかりやすかったんですがねぇ、なんておっしゃる。おじさんも初めこそ恐縮していたものの、お店が近くにつれて少しずつこちらに心を開いてくださったのか、昔のエピソードをぽつりぽつりとたのしそうに語ってくれる。そうこう話している間に目的のお店に到着した。ここですよ、という前におじさんは「おお、ここですここです」と嬉しそうにお店の中へ。僕らもこんなに喜んでくれるなら、こんなに簡単なことでもやってよかったなぁと、じゃあ僕らもこの余韻を楽しんでいっちょ初めに飲むお店を探しにいこうかとその場を離れようとしたところ、お店の中からおじさんが手招きをしている。

 

「どうぞどうぞ、ちょうど中に3名分のお席もあるみたいですし、よろしければご一緒しませんか?」

 

おじさんとカメラと仕事と夢を語る

招いてもらってからのことは、正直あまり詳しく覚えていない。言葉の端々、そのディティール、そんなのはもう記憶の奥底をさらってみてもどこにも残っていない。おじさんの顔さえ曖昧だ。ただ、ずっと楽しい時間で、おじさんが「ここ店のモモは美味しいんですよ」なんて言いながら色々な美味しいメニューを教えてくれたりしたことは覚えている。おじさんが働いていた時何を目指していたとか、その時の出来事や思い出なんかが今も目の前のお店に残っているとか、自分の人生にそのまま直接関係のあることでは無いのに、なんでこんなに楽しかったのだろう。自分も呼応するように、将来こんなことがやってみたいんですとか、今はこんなことを考えているんですみたいなことを話していく。そういえば、おじさんとは共通の趣味があった。お互いフィルムカメラを愛でるのが好きだった。おじさんが山にペンタックス645を持ち込んでると言うなら、僕は6×7で街をスナップしますと返してみる。似たような趣味を持っています、みたいな合図だ。すると、おじさんは67はマミヤを使っていたとかで、僕なりに知っている知識を動員して重いらしいですけど何に使っていたんです?なんて聞いたりしてみた。ああ、楽しい。そのときポケットにはGR10。色気のない出会いだけど、頑張らなくていい心地よさがあったその時の空間を、その一端でもいいから切り取ってみようと思ってシャッターを切った。

 

あらかた飲み食いをして、おじさんとはそのまま別れた。次の日休みだったこともあって、そのまま深酒をして家に帰った頃には途中の記憶をさっぱりなくしてしまっていた。

 

「今度はこちらに遊びに来てください」

社内メールには"練馬の居酒屋からの伝聞です"と注釈がついた上で、また飲もう、今度は練馬のお店に来るといいと書いてあった。はっとした。ああ、この練馬の居酒屋の店主はあの時のおじさんだ。

僕にメールをよこした社内の人に聞いてみると、おじさんは僕の名刺に書いて有る会社名と事業所から、関連しそうな会社の人が来たら僕を知らないか?と声をかけていたらしい。メールには「あの時の楽しい時間のお礼もかねて是非遊びに来て欲しい、また楽しい話をしよう」なんてことが大人の礼儀たっぷりに書いてあった。楽しい時間だなんてとんでもない、僕はただ自分が好きな話をただ好きなようにしただけなのに。ただ、このメールにある通り、僕が確かに感じた楽しい飲み会空間の感じを見ず知らずのおじさんも同様に感じてくれていたんだとしたら、それはそれでいいことだなぁと思う。楽しさはグルーヴするのだ。

 

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少しバタバタしていたせいで、メールを受け取ってからまだお店には伺えていないけれど、今度一度練馬の居酒屋にお邪魔をしてみようと思う。そこでまたなんでもない話をしながら、お酒の席独特のグルーヴを楽しむのだ。

こんな具合に、どこかで話した人どこかで笑った人なんかと、またつながるなんて思いもしなかった。お酒は人も縁も"かもす"というのもあながち嘘では無いのかもしれない。そこまで含めてまたお酒が好きになる。我ながらいい飲み方ができているんじゃないだろうか?

ああ、お酒が飲みたい。

 

一点だけ、おじさんについてリクエストが許されるのなら、おじさんでなく若い女性だったら最高だったなぁなんて思わなくも無い。その辺は、お年頃の青年として残念に思ってもバチは当たらないだろう。