銀塩日和

フィルム写真と冒険。そしてSDM生活。

期待しないでソ連のContaxを手に入れたんだけど、すごいぞこれ!!

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クローンContaxで撮影した写真。モノクロ処理をしている。

 
どうも、僕です。
久しぶりにカメラ自体の話をしよう。
 
少し前に"CONTAX"銘のカメラの話を少し書いた。もともと熱狂的なファンを持つブランドなので、なかなか記事の評判もよく、ブランド自体今となっては存在しないにも関わらずコメント欄などで様々な素敵な想いやエピソードに触れることが出来た。
「やっぱりフィルム写真が好き」の件もそうだが、僕は人の「○○が好き」という想いに触れるのが好きらしい。
特にこのCONTAX 139quartzの記事は、書いた瞬間にカメラクラスタ中から「CONTAX使ってるよ!いいよね!」「CONTAX欲しいんだ!」「CONTAX買ったよ!いいでしょ!」という素敵な物欲があふれ出したのが見えて思わず笑ってしまった。
実はCONTAX 139quartz はちょっと手放してしまったのだけど、このカメラのおかげでこんな素敵な体験をさせていただき本当に感謝しかない。手放したカメラはもちろん大事に使ってくれそうなので安心ではある。
 

ino-null.hatenablog.com

 

感謝しかないなどと言いつつ、僕だって春らしく物欲を撒き散らしたりしたかったりする。というか撒き散らしてしまった。何が言いたいかというと、またContax関係のカメラを手に入れてしまった。ごめん、なんか笑

 

 

 

 

クローンContaxをご存知か?

素敵なカメラを手にすると、それについて調べたことを語りたくなるのは、モノ好きの性だろうか。面倒だと思われた場合は読み飛ばして頂いて構わない。ただ、多分にエモいはずなので、知識がなくても読んでいただければ楽しいと思う。
 
さて、"コピーライカ"と呼ばれるカメラがある。これはドイツ発の、ライカという歴史的なカメラが素敵すぎて、世界中のありとあらゆるメーカーがライカの作りを参考に商品化したライカ型のカメラのことを言うらしい。ピンと来ないかもしれないが、今やカメラ業界の頂点に位置するキヤノンですら、かなり前にはライカのコピーモデルを作っていたのだ。それほどライカの登場は衝撃的だったのだろう。
 

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試し撮りには渋谷を使いがち。僕あるある。


ところで、このライカが登場した頃、それと双璧をなすような立場のカメラがあった。それがContax(コンタックス)だ。ここで上で書いたようなCONTAXとは資本が違うため一応分けて書くことにしよう、CONTAXと比べてこちらは純粋にドイツのブランドだからね。

 

 Contax がどんなカメラだったかはここでは説明を省く。語れば多分止まらないし、僕の語りに対してその道に詳しい人から訂正や指摘の嵐になることが容易に想像がつくからだ。「厳密で、頑固で、撮影精度にこだわった(多少面倒な)カメラ」とだけ言わせて欲しい。強いて言うならね。

双璧をなすと書いた通り、Contaxにももちろんコピーカメラが存在する。有名なところだと、現代のキャノンのライバルが生み出したNikon Sなんかは外観はContaxⅡにそっくりだったりする。(まぁこれをコピーとするか、というのも議論があるらしい)

少し長くなってしまった。

では僕が今回手に入れたのが、このコピーContaxなのかというとちょっと違う。それを違うというためにわざわざここまで書いたのだ。今回僕が手に入れたのは"クローンContax"と呼ばれるKiev4なるカメラだ。

 

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これがKiev。渋くて格好いい。僕が手にする初めてのレンジファインダーだ。

 

このKiev(キエフ)というカメラ、ウクライナアーセナル工場で量産されていた。なぜこれがコピーでなくクローンだと言っているかというと、このアーセナル工場の出自による。もともとは大戦前に東ドイツでContaxⅡを量産していたツァイスイコンの工場の生産ラインを第二次世界大戦の敗戦国からの接収という形で旧ソ連に移設したのが、このアーセナル工場だというのだ。つまり、このKievはソ連のカメラだが、ドイツのカメラでもあるわけだ。さらにこの接収の際、生産設備だけでなく、ド イツでContaxを生産していた部材や一部技術者も一緒に移設したため、Kievの初期は名前を変えただけのContaxⅡと言ってしまって構わないレ ベルの品質だという。Contaxを真似して作ったのではなく、設備も部材も全てContaxそのものだ、というところからこいつをクローンと呼んでいる。こういう技術の変遷って最高に興奮するのは僕だけだろうか。

 

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レンズにはしっかりロシア語。Jupiter-8M 50mm F2でカールツァイスゾナーのクローンだ。

 

ただ、さすがに時間が経ってくるとドイツの部材はソ連独自のものに変わり、品質上はある程度の割り切りがされたのか後期のKievの感触は残念なものらしい。なんか時間経過とともに品質が安定してくる日本製品とは逆なのが面白い。今回僕が手に入れたものは後期量産品なので、まぁ巻き上げの感触は重たいし、全体的につくりに不安があったりはする。当然この時期のKievに歴史的な価値はない。むしろ品質上の不安くらいしかない。おかげさまでだいぶ安く手に入れることができた。目安だけお伝えすると5,000円以下だった。壊れてもまぁだいたい壊れそうなところの目安はついているからなんとかなるだろう。

 

カラーの試し撮りでびっくりした。これすごくイイぞ!

品質は微妙とはいえ、設計は全く変わらないのだから安くContax感を楽しむには十分だ。とりあえず、動作確認も兼ねて業務用フィルムを一本込めて試し撮りをしてきた。

 

 

撮れた写真をざっと並べてみると、少しだけ光が漏れているようだ。多分ボディ背面のモルトが弱くなっているんだろう。ただ、レンズの素性がいいのか、これまで僕がフィルムで撮影してきた感じとはだいぶ違う唯一無二の写りをしてくれた。。。これは......すごくいいぞ!!!

 

 

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右端、右下、左下がなんか光漏れてるかな?

 

被写体のせいもあるだろうけど、なんかマジックザギャザリングの背景みたいなものが撮れてしまった。これすごくイイんじゃないか!?

 

 

 

モノクロにしてよくわかるレンズの良さ

最近はカラーネガをDxO FilmPackでモノクロにするのが個人的なブームなので、これらの写真をモノクロにしてみた。モノクロにしたほうが繊細度が増す気がする。

 

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古いレンズにもかかわらず、周辺まできちんと解像している。。。こんなしっかり撮れるんだ。。。まさにおそロシア。。。

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ちょっと直してから常用するかもしれない

実はここに載せている以上にもっと光が漏れている写真を量産しているのだけど、おおかたどこを塞げばいいのかわかったので、まずはモルトを貼り直そうと思う。ちょっと面倒でも手を入れて使いたいほど、今回の写りにはびっくりした。

あと、僕が人生で初めて手にしたマニュアルのレンジファインダーということもあるので、このお作法を楽しんでみようかなぁと。カメラを直して、またイイ写真が撮れたらバンバンこのブログに載せていこうと思う。この世には遊びがいっぱいだ。最高。

 

なお、このカメラを手にするにあたって、アレモコレモさんがContaxを手にする瞬間と完全に被ったのには、思わず僕もシンクロニシティを感じてしまった笑

 

aremo-koremo.hatenablog.com

 

あと一つ、シンクロニシティを感じてしまったカメラがあるのだけど、それはまた今度笑

 

こちらからは以上でーす!

 

お題「やっぱりフィルム写真が好き!」