銀塩日和

フィルム写真と冒険。そしてSDM生活。

28歳、人生初めてのヨーロッパは写ルンですで撮ってみた。

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どうも、僕です。

今年の4月にすごく貴重なチャンスをいただけてMilano Design Week 2017というめちゃくちゃ大きなイベントに出展してきた。

Milanoと書いてある通り、開催場所はイタリアのミラノ市。台湾に一回だけ行ったことのある海外旅行超絶初心者の僕にとって、ヨーロッパだのイタリアだのミラノだのはやたらハードルを感じて仕方ない。しかもDesign WeekというイベントはMilano Saloneを筆頭にミラノ市内がデザインの展示会場となる世界的イベントなのだ、これはまずい。きっとおしゃれレベルも世界的な水準に引き上げられるんだろう。イタリア自体が期間中はおしゃれじゃないと入れない国になってしまうはずだ。入国検査で「次、おしゃれアイテムを提出しろ」「はい、このカットソーです!」「よし、通れ」みたいな検査だってあるに違いない。いやいや、マジで無理だそれは。ユニクロH&Mが映画版ドラえもんジャイアン並みに心の友な僕であるのだから入国おしゃれ検査に通過するはずがない。仮に入国おしゃれ検査に引っかかってしまったら人生初のヨーロッパ上陸は夢のまた夢...なんて杞憂が頭をぐるぐる巡って変にこじらせた結果「いや、フィルムカメラを持って行くなら写ルンですっしょ。なんかおしゃれアイテムっぽいし」と思い至り、家に置いてある数十個のフィルムカメラを全て留守番させて日本を飛び立ってしまった。

 

 

 

 

今回は展示プロジェクトのメンバーであったのはまちがいないのだけれど、プレス用の写真を収めるカメラマンも兼ねているので、デジタルカメラも同時に持ち込んだ。なので細かな旅の道程は、次に書くデジタルカメラの写真をまとめた記事に譲っておく。

www.japandesign.ne.jp

 

 

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今年の展示会場はトルトーナ地区のSuperStudioと呼ばれる展示会場。昨年度までは単独展示だったのに対して、SuperStudioにはebay, LG, 3M, pepsi, 旭硝子,などなど世界中の有名ブランドがずらっと並ぶ激選区である。なんかまぁさぞお客さんが大量にいらっしゃるんだろうなぁなんてぼんやり思っていたら、予想を超えて満員御礼でえらい目にあった。ありがたいんだが、スタッフは4名なので手加減をしていただきたい。

 

上の写真はそのSuperStudioの前の景色である。Design Weekの期間前に撮影したものなので、ただの都市の一風景なのだけれど、イベントが始まるとここが全て歩行者で埋まるくらいに表情が一変する。

 

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写ルンですで撮影したのは、だいたいが僕のオフショットだったりする。Design Weekの開始以前、または開催中の宿の写真など。時間を見つけて外をぶらついた時の散歩写真として、ポケットからするっと取り出して歩く速さに合わせてパシャっとシャッターを切った。

 

フィルムカメラを持って行ったこと、写ルンですを持って行ったことはそれぞれ正解だったなぁと思う。自分を褒めてやりたい。よくやったぞその方、褒めてつかわす。

ミラノの歴史は浅いと聞いていた。戦前戦後あたりから街が都市として形成されたくらいの時間感覚は、歴史の長いイタリアという国の中では新しい都市であるらしい。街並みにもそれが現れているから写真撮るのにいいところはないかもね、なんて事前に聞いていたけれど、そんなことは全くなかった。別に歴史が撮りたいわけじゃないし。ミラノの街の色が好きだった。街の端々に残るレンガの建物、アクセントのように存在感を漂わせる赤青黄の原色モダンな建物。その街を舞台に凛と生活している人々(実際一緒に働いた女性たちはマジで格好良かった。恋に落ちるかと思った。)そのどちらもがファインダーを通して素敵に映った。フィルムカメラを持ってきて良かった。空の青さと、建物の暖かさをいい感じに焼き撮れる。よくやった俺。

 

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普段使いのフィルムカメラじゃなくて、写ルンですを持ってきたのは取り回し上楽だった。適当にぽーんって放り投げたり、トランクに力一杯詰め込んだりして良かったからだ。もちろん上がってきた写真を見てもうちょっとちゃんとしたカメラだったら...もうちょっとちゃんと扱ってあげたら...なんて思ったりもしたけど、まぁそういうこともあるでしょうよ。

 

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学校のプロジェクトゆえに、あらゆるコスト詰め詰めの激安遠征とならざるをえなかった。その影響の一つが宿だ。今回の宿は現地でホテルを取る予算がなかったのでAirbnbで適当なお部屋を取った。最大10名2週間宿泊という大型受注でテンションの上がったホストは僕らの想像をはるかに超えるもてなしをしてくれたし、部屋も「これがミラニスタの部屋か...」とため息が出るくらいおしゃれ偏差値高めだったため、なんだったら満足度はホテルより高かったかもしれない。そら普通のホテル産業はダメージ受けますわ。

 

上の写真は宿のテラスからの眺め。ミラノの中心一等地、地上10階からの眺めは伊達じゃない。

 

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眼下には朝から深夜まで車がずーっと走り続ける。現地のコーディネーターさんがミラノは車文化ですねぇなんて言っていたけどさもありなん。テラスの眺めも、いごごちも最高だったのだけど、地上10階までのエレベーターが1基しかなく、4名乗ったらいっぱいになるという状況だったので、日々階段と仲良しするしかなかったのだけはなんとかして欲しかった。途中友達になったpepsi社員のアメリカ人お姉さんに「そのエレベーター4人乗ると落ちるわ。先週落ちたもの」などと知りたくなかったアドバイスを受け取ってしまったのもある。

 

 

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初夏の陽気で散歩も楽しかった。街を歩くガキンチョからおじいちゃんおばあちゃんまで全ての人がおしゃれで、話しかけると優しくいろいろ教えてくれる。写真を撮っていて楽しいことがたくさんあった。ちなみにおしゃれなのはこの季節のこのDesign Weekの週のみで、あとは適当に過ごしている、と現地のお姉さんが教えてくれた。世界中からおしゃれさんが集まるので緊張しているそうだ。

イベント自体も、イベント外も見たもの全てが新鮮で、月並みだけど「自分の足を使って見に行かないとわからないものがたくさんある」なんてことを思った。別になんてことのない感想だけれど、ググったらあらゆることがわかる世の中になっていく中で、"調べればわかる"と"経験したからわかる"の差はこれからどんどん開いていくはずだ。それが実感できて良かった。

 

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現場へ行って、写真を撮れて良かった。次はどこへ行こうかな。もちろんフィルムカメラを持って行く。

 

 

お題「やっぱりフィルム写真が好き!」