銀塩日和

フィルム写真と冒険。そしてSDM生活。

今度結婚する新郎に自転車を買わせて大阪まで走ったら達成感がすごかった

 
どうも僕です。
うわー、ブログ全く更新していなかった。。。
それでもなんとなくダッシュボード見てるとコツコツご覧いただけているのでありがてぇ...すまねぇ...なんて思いながら、ただブラウザを閉じる毎日でございました。
 
 とはいえ、このまま腐らせておくのもなんかなぁと思い、久々に近況でも書こうかなと思った次第でございます。
そうでしたそもそもこのブログはなんとなく近況を垂れ流すために作ったブログなのでした。
 
さて、最近ですがちょくちょくロードバイクに乗っている。
きっかけになったのは年末の修論地獄。。。
 

 

 それから春になり暖かくなっていよいよ本格的なロードバイクシーズンってことでちょっと長距離走ってきた。
 

大阪に自転車で行く余興

 
 前職の同期が結婚することになった。ある日彼に呼び出され、「結婚式の余興をやってくれ」と言う。基本的に面白いことを考えて実行するのは大好きなので、喜んで了承。むしろ僕に発注をしたことを爆笑しながら後悔させてやろう。
 

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 さてさて何をしようか。友人たちと適当に意見を出していくと「新婦の実家の池の水を抜く」「未成年の主張をやる」などなど好き放題意見が出てきた。その新郎曰く、奥さんの実家が大阪にあり、友人の何人かが大阪を離れられないために式に出席できないという。んん、それはまぁ仕方ないけどもったいない気もする、じゃあなんとかするか、余興で。よし、行くか大阪!でもただ行くのだと面白くない、新郎にはせっかくだから笑える苦労をしてもらおう(?)ということになり、自転車を買わせて自走で動画を撮りに行かせることにした。結論から言うけど死ぬほど大変だった、主に新郎本人が笑
 居酒屋でお酒を飲んでゲラゲラ笑いながら余興を決めると大変なことになるので世のこれから結婚する人たちは是非覚えておいてほしい。
 

チャリを買いに行こう

 
 飲み会が終わり、ロードなら余裕だってwwなんて笑いながら新郎にあることないこと吹き込んで解散。
 酔いが冷めてから冷静に大阪までの距離をざっくりと調べたら500kmを超えていた。おいマジか。その時点でロードバイク歴4ヶ月の僕の最長距離がだいたい120kmだったことを考えると、未経験者の新郎を笑っている場合じゃない。大阪に到着する前に自分が死んでしまうwwその日からコツコツ練習を始め体を鍛え装備を揃えることにした。
 

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 一方で新郎はすぐにトレーニングとはいかない。だって自転車持ってないんだもの。そんな事情なので急いで経験者の友人を連れて新郎のロードバイクを買いに行ったのだった。結婚式というそこそこ人生でもお金をつぎ込むイベントがあるにもかかわらず、そこそこお金がかかるロードバイクを買うというのは結構な冒険である。ぶっちゃけこの時点で変なこと提案してマジごめんと思っていた。そんな事情なので予算は厳しい。ロードバイク自体はもちろん、ヘルメットなどの周辺備品も価格はピンキリであるが、今回の予算ではエントリークラスのバイクで選ぶしかない。エントリーバイクが悪いわけではないが、価格の差はそのまま性能の差であることが多いので、納車一ヶ月以内に500km自走というエクストリームライドを走るにはなかなか厳しい条件かもしれない。当然いいバイクに乗ればその分だけ疲れにくかったりするからだ。
 
 
 そんな条件の中で彼が選んだのはTrek Emonda AL4 というバイク。重量が重くなりがちなアルミフレームを極限まで軽く作りあげたアルミ軽量バイクだ。ショップの店員さん曰く、快適性をうたったTrekのDomaneは有名だがアルミフレームのクラスだとなかなかその力を体感しづらい。それならEmondaのほうが軽い分ロングライドが楽になるかも、ということだった。なるほど確かに。ちなみに完成車を持ち上げてみたが同じアルミフレームの僕のSpecialized Allez Sprintのほうが軽く感じたのだけど、これはやっぱり価格差なのだろうか、それとも僕の愛車への愛ゆえ?やっぱり自分のバイクをえこひいきしてしまうのだろうか。ああ格好いいAllez Sprint。
 
 

黙々と練習をしよう

 
 納車まではだいたい1~2週間位かかるものだと思う。僕のときもそうだったし。意外とサイズフィッティングがシビアな乗り物なので、フレーム在庫がない場合はメーカー取り寄せ、仮に在庫があっても納車のための組み立てやら調整やらで時間がかかるらしい。特に今回購入者の新郎は身長が高い上に常人より手が長い。酔った勢いで「うるせぇヨガファイアするぞ」とか言い出すタイプのダルシムだ。そんな彼なのでフィッティングの結果日本に入ってきているフレームで一番大きいフレームになってしまった。当然店頭在庫はない。ものすごく早く練習したくて焦っている新郎をとりあえず経験者の友人と二人して煽っておいた。
 
 納車したらとにかく練習をしなければいけない。自転車は乗っている時間が多い分だけ楽に走れるようになる素敵な乗り物だ。とにかく目安として100kmくらいのロングライドは体験しておかないと厳しい。というのも本番は500km以上自走と書いたが、我々へなちょこが夜通し一日走りっぱなしなどできるわけがない。宿泊想定の3日間を走行に当て、帰りはレンタカーの予定だ。それなら一日170km位を走ればなんとかなることになる。それでも納車一ヶ月で走る距離としてはキツイのだけれど彼は奥さんへの愛でどうにかすると言っていたので愛を信じてみることにしよう。
 

 
 この時期、練習として静岡県のハンバーグ屋さん「さわやか」へ自走で行ったりしてみたがとても楽しかった。なお僕の足はプルプルになったし、新郎はその日の終わりに15歳老けた顔になっていた。自転車は時間旅行を可能にするんだ!と思って感動。
 

出発、箱根という絶望

 
 僕が家を出たのは朝の3時。40km先の集合地点までは自走の予定だったので早めに出てダラダラ走ろうという計画だ。
日が昇るころくらいには集合場所の江ノ島に到着。経験者の友人とも合流して主役こと新郎を待つ。
余談だけどこの経験者の彼のバイクTrek Madone5.1が超絶格好いい。ウルトラマンみたいだ。
 

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 新郎が来ない。待てども来ない。なんか事故ったんじゃないかと思って変な汗を書いたが、普通に40分遅刻してやってきた。本人曰く「急いだんだけどね」とのこと。だいぶチャーミングである。
 集合したので3人トレインで快調に飛ばす。一日目の目的地は静岡市。つまり途中に箱根を超えなければ行けない。ああ恐ろしい。
 

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この冗談みたいに尖っている山が箱根www

 
 今回のライドは余興動画の撮影も兼ねているので僕のAllez sprintちゃんには前後にアクションカメラが据え付けられており、新郎の走行中のお尻や顔面を逐次動画に撮っている。しかしどうにも走行中の動画より休憩中の動画の方が割合が多い。。。そう、箱根の裏手、旧東海道の冗談みたいな激坂にやられて新郎が一日目にして心も体もミイラみたいになってしまったのだ。小田原周辺で「箱根余裕っす」なんてうそぶいていた人間は数時間後にテディベアの用に地面にどっしり座って歩行者にどんどん抜かれて行く様はなかなかにコメディである。なお、4ヶ月だけだが経験者だった僕自身、頑張れと励ましながら彼のペースに合わせて走っていたが、ぶっちゃけ全身がボロボロになっており余裕は皆無だった。ああ怖いよ箱根。でも4ヶ月分のアドバンテージを凝縮して顔面に貼り付けておいたので顔だけは涼しい顔だったはず。バレていないはず。いや、本当に坂が苦手だと言うことがわかってよかった。
 

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 なんとか箱根を制覇し、あとは流れるように静岡へ突入。平坦区間を20kmくらい一人で先頭を引いてみたが、なかなか静岡市が近づかない。なにこれ、静岡って西に逃げてるの?夕方になる頃には箱根のダメージとそもそも朝出たのが3時じゃねぇか、しかも前日から仕事あったから寝てないわ、みたいな状態で平坦なのに死にかけているところに雨。もう散々な状態で静岡の宿に到着したわけである。一日目がこの旅の一番のハイライトだったかもしれない。
 

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温泉に入っていい感じにん飲んで、そのまま気絶するように布団に挟まった。

 
1日目のルート

トラブル静岡とミニゲーム豊橋

 
前日の疲れもあって遅く宿を出た。全員判断力がゼロどころかマイナスになっていたので、新郎なんかはクリートカバーを付けたままビンディングをはめようとするのでペダルが全く足にはまらない。今年30になる男が一生懸命ペダルと戦う20分間はなかなかファンシーな時間だった。そんなコンディションなので、全員が全員えっちらおっちら走るものの距離が縮まらない。
 これはいかんと思っていたところにトドメを指すように、新郎バイクともうひとりの経験者のバイクにメカトラブル。変速がうまく効かなくなってしまった。一応手持ちの工具で調整を試みるのだけど全く戻らない。こりゃもうだめだと割り切って、車組と合流し自転車を積み込んで自転車屋へと向かうことにした。ありがとう浜松のサイクルベースあさひ
 調整と修理も終わり時計を見るとすでに夕方。でもこの日は豊橋の先っちょ「伊良湖岬」まで行かなければいけない。。。うん、このままだと間に合わないwwwどうにか行軍のペースを上げなければいけないということで、自転車組3人のうち一人だけを車に積み込んで体力を回復、それをかわりばんこに行うことで常に全力で自転車を漕ぎ続けることにした。はじめの休憩者はサイコロで決め、20kmくらいごとに交代をしていく。サイコロで走者に決まった僕は新郎を引きながら平坦を飛ばす。ああやっと交代だとおもい合流地点へ向かうと、車組が何やら水の入ったビニールホースを持って笑っている。おいおい、普通に交代させればいいじゃんか、ここまで全速力で飛ばしてきた人間になにさせるんだ、、、訝しみながら説明を聞いてみると、両端を今走ってきた二人でそれぞれくわえて息を吹き込み、肺活量が貧弱な方がびしょ濡れになって次の走者になるらしい。

 

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走ってきたばっかりの人間にミニゲームやらせるんじゃねぇとか思いながらも渋々ホースをくわえ全力で吹き入れる。対戦相手の新郎は一心不乱に体を縮めて息を吹き込んでいる。これ冷静になって上体を高くしておいたら水にかかる重力で有利になるんじゃないかなと思ってすっとつま先立ちをする。。。あ、勝った。サクッと自転車を車に積み込んで僕はワープ。 
 

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 以降こんな感じでひたすら浜辺で相撲や、カレー早食いなどのミニゲームをしながら20kmを潰していくことになった。途中ゲラゲラ笑いながらミニゲームをしていたせいで「伊良湖岬」の宿に到着したのは夜の21時ごろ。
 

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 ラストの斜度15%を超える謎のヒルクライムは本気で絶望仕掛けたがなんとかたどり着いた。
 
二日目のルート

逆風の大阪城ゴール

 
 最終日の朝、車組も自転車組もフェリーに乗っていた。前日にたどり着いた「伊良湖岬」から三重県の鳥羽へ向かうフェリーだ。すべて陸路で大阪まで向かえればよかったのだけど、貧脚3人組ではそれは無理だろうと苦肉の策で海路を組み込んでみたのだ。天気はいい感じに晴れ。潮風が気持ち良いのだけど全員全身乳酸だらけで体が動かない。案の定鳥羽から津までのちょっとした坂道で時速10kmもでないゾンビみたいな走行になる。この日特に苦しんだのは向かい風だった。山から海に吹く強風が海から上陸した僕らの進軍を簡単に止めてしまう。僕らと逆方向にすすむローディーさんが全くペダルを漕がずにスーッとすれ違っていく中で男三人死にそうな顔をして炎天下の幹線道路を漕いでいく。新郎は初心者ながらここまでよくついてきたなと思う一方で僕ともうひとりの経験者組の体力が明らかに限界を迎えかけていた。
 

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 こんな極限状態の自転車組3名が口々に「あれ?結婚ってこんなに大変なんですか?」「そりゃ結婚率も下がるよね」なんて漏らし始める。いやいやお前ら自分で企画したんだろうが、世間の人は結婚のためにこんなことをしないわ。
 

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 それでもゴールが近づくにつれてどこからか元気が出てきて足は気持ちと全く関係なく回り続ける。伊賀の峠を登りきり、勢いそのまま大阪まで到達する。あとはゴールに設定した大阪城にたどり着くのみ、この3日でひたすら上達したトレインで市内を滑るように走っていく。城が近づくにつれ高揚するテンション。多くなる口数。気がついたら僕らは「1/6夢旅人」と軟式グローブの「アホだな~」の歌(ちょっと名前ググってもピンとこない)を走りながら大合唱していた。新郎は僕らにそそのかされて自転車に乗り始めて3週目で嫁のために大阪まで走らされているこれをアホだと言わずに何という。アホだなお前女を追っかけ回してまたドジしている奴がこの新郎ではないか!
 
 
 すっかり暗くなった大阪の街を、ヘッドライトの流れをすり抜けて大阪城までたどり着いた。大阪城公園から見るお城は夜のライトアップでこれでもかと輝いていて、たどり着いた僕らの気持ちとシンクロする。ああ、ついたんだな。ようやく終わったんだな。夜の光に照らされた僕のバイクのフレームが最高に格好いい。疲労で訳わからなくなった身体感覚の中から湧き出る震えみたいなものをビールで流し込むのは最高の体験だった。
 
三日目のルート
 
 
 次の日、つつがなく嫁さんの友人にお祝いメッセージをもらいミッションを完了。レンタカーで帰路についた。
 

軟式キャノンボール

 
 そんな感じで酒を飲みながら決めた大阪までのゆるいキャノンボール通称「軟式キャノンボールを3日で達成した。新郎にしてみれば究極の巻き込まれ体験でしかないだろうが、ボロボロになりながら走りきって一緒にふざけてくれたことには感謝しかない。
 
 結婚式本番に向け撮影した動画を編集しながら、記憶が消えないうちに書いてみた。今年30になる男どものやることとは思えないアホらしさであって、非常にいい。
 
 今これを書きながら僕はまたこんな感じでふざけたことがしてぇなと思っているので、多分またこんなことをやる。